人類の根源と環境問題へのオマージュ



(左)ロンドンの伝統的な街並の空に突如として姿を現す「きゅうり」。当初は景観問題も取り沙汰された。(中央)最先端のエコロジー構
造を搭載した30セント メリー アクスは、採光性や機能面でも優れている。(右)とんでもないニックネームを持つロンドン市庁舎。『テ
ート・モダン』からも近く散歩が楽しい。
葉巻、座薬、ロケット…。日本人が30セント メリ
ー アクスを初めて見た時に連想するものであ
る。しかし、ロンドンっ子たちは、そうは呼ばな
い。「エロティック・ガーキン(エロティックきゅ
うり)」と親しみを込めて呼ぶ。設計は、ノーマン
・フォスター。ロンドン市内のさまざまな建築物
を手掛けているイギリス建築界の大物である。
最近の彼は球状や筒状に非常にこだわってい
るのだ。その理由はエコである。「近隣エリアの
影を減らす」「ビル風を減らす」などの効果の他
に、螺旋構造の吹き抜けとエスカレーターを配
すことで「空調効率を向上」させているのだとい
う。フォスター卿は、「きゅうり」以外にも、ロン
ドン市庁舎を手掛けているが、こちらのニック
ネームは、なんと「光る睾丸」だ。両方の建物と
もに、夜になると螺旋構造の部分が輝き、そこ
を人が行き来している。その姿はDNAを連想さ
せ、性的なニックネームにも「なるほど」と頷い
てしまうのだ。